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諜忍・霧咲氷雨 〜吉原遊郭に沈む潜入娼婦〜
小説:089タロー 挿絵:竜胆

 

「舐めろ。娼婦としての初歩だ。こなせなければ廃棄されて終わりだ」
 そう言われると氷雨は反抗の理由を失う。このまま任務失敗となればこれまでの内偵すべてが無に帰す。今までに何度、一から出直す羽目になったか。払った犠牲も数多く、それを思えば無理にでも食らいつくほか選べる道は無かった。
「っ……は……むっ……ちゅ、くちゅ……」
 今は耐え忍ぶ以外に無い。そう己を諭し、屈辱に震えつつ小さくだが舌を這わせる。
「もっと動かせ。俺がやってみせたようにしっかりと舐めてみせろ」
「ん、く、は……はぃ……ちゅくっ、くちゅ、れる、ちゅ……」
 塩気にも似た独特の苦みが舌を通じて口に広がる。汗ばみながら睨みつけ、小さくだが連続して舌を動かす。
(なんだこれは……なぜ? グロテスクで臭いのに、言うほど……嫌じゃない。舌がぴりぴりしてきて、におい嗅ぐと、頭の芯がくらくらと……)
 決して美味ではないというのに舐めれば舐めるほど馴染んでいく自分に驚く。特ににおいは強烈で鼻につくも、自分のそれとは大きく異なり不思議に劣情と興奮を煽る。
 これが男の味とでもいうのか──ふとそう思った刹那、熱く茹った下腹の奥に、きゅんと小さなわななきを覚えた。
「無知だが飲みこみは早いな。上出来だ。だが……」
 ディエゴは目を細め薄く笑うと、氷雨の頭をわし掴みにし、口目がけてずんとペニスを打ちこんできた。
「んぼぉおおッ!?」
「この程度では客は飽きる。もっと激しく、もっと深く、舌を絡ませ頬と喉を擦り付けろ」
(く、この男っ──!)
 耳にはしていたがこれがイラマチオという行為か。なんと横暴で傲慢なプレイか。女の口をなんだと思っている。
 そうは言っても今の自分は従う以外に選択肢は無い。反抗の手立ては無く任務にも反するのだから。

 
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