「諦めるより前に出る? 私は……蒼葉が何を言ってるのかよく分からない」 「ああ……ごめんごめん。その……えっと……こういうことだよ」 そう語りながら涙を拭うと── 「んっちゅ」 今度は蒼葉からキスをした。雪菜の唇に自分の唇を重ねた。 「んんっ!?」 幼なじみの瞳が驚きに見開かれる。 でも、唇は離さない。雪菜が見せる反応に愛おしさすら感じながら、ずっとずっと唇を重ね続けた。 「んっふ……んんんん……」 そのお陰だろうか? やがて雪菜は表情から驚きを消すと、こちらのキスを受け入れるように瞳を閉じてくれた。 そのまま互いの身体をギュッと強く抱き締める。互いの身体の温かさを確かめ合うかのように……。 しばらくキスを続けた後── 「私……雪菜のことが好きよ。ずっとずっと……昔から……」 そうはっきり自分の想いを告げた。 「……嘘……」 呆然と雪菜は呟く。 「嘘じゃない。嘘じゃないよ……」 そう語りかけながら、もう一度雪菜の唇に自分の唇を重ねた。 いや、一回だけじゃ終わらない。 「んっちゅ……むちゅっ……ふちゅううっ」 「んふっ……ふっちゅ……ちゅっちゅっちゅっ……んちゅうう……」 何度も何度も、啄むようにキスを続けた。 「私の気持ち……分かってくれた?」 唇が唾液で濡れるほどキスを繰り返した後、雪菜に問う。 「……うん……確かに……馬鹿みたい……。私達二人とも……」
本文中より抜粋 抜粋文とイラストは一致しない場合があります。 ※挿絵イラストはWeb用に修正してあります。
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