束咲との愛撫は、別に嫌じゃない。彼女のストレス緩和になるならば、散歩に付き合うのもやぶさかではなかった。ただそれも、あくまで裸でなければの話。
「あん……ふぁ、んっ……ンッ」
深夜、二人は小学校の校庭に入り込んでいた。今年の春に廃校になったばかりで、次の使い道を検討中という場所だ。当然、門扉には「立入禁止」の札が下げられている。
「ねえ、勝手に入ったらダメなんじゃないの?」
「だ……だから丁度いいんじゃない。それに……タバコ吸ったりお酒飲んだり、花火して騒いだりするわけじゃないから……大目に見てもらおうよ」
心配する硝に束咲が平然と微笑むけれど、ある意味、それらの行為より質が悪いことをしている気がする。
束咲は、昇降口のガラス戸にもたれかかり、オナニーしていた。今夜は少し肌寒いので着衣だけど、パーカーの前を広げ、Tシャツを捲り上げ、露わになった自分の乳房を揉みしだいている。しかもパンツは最初から穿いてきていないから、事実上、裸と大差ない。
「んっ、はぁぁぁ……。気持ちいい……。ねえ、見てる? 見えてる……?」
「もちろん見えてるよ。おっぱいも、アソコも全部」
蕩けた声で束咲が尋ねる。硝はそれを、彼女のスマホで撮影していた。上気した表情から涎で濡れた唇に寄り、硬くなった乳首を大写しにして、指が蠢く秘部へとレンズを移動させる。演技の勉強で習ったカメラワークが、皮肉にもこんな場所で活用されていた。
もちろん、冷静に撮影できているわけじゃない。手振れ補正機能をもってしても若干のブレが生じるほど、手が震えている。
(どうして、こんなの撮らなくちゃいけないの?)
心の中で文句を連ねながら、画面からは一時も目を離さない。襞を震わす指の動きも、掻き回される恥蜜の音も、余すところなく記録していく。
「今さらなんだけどさ、本当にこんなもの残していいの?」
「誰かに見せるわけじゃないもん。それより……あっ……で、出そう……!」
束咲のか細くなった声で察した硝は、咄嗟に一歩下がった。その直後、彼女の恥裂から水流が迸った。綺麗な弧を描き、低い階段に水溜まりを作っていく。
本文中より抜粋
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